■主体的に動く部門に! 大手ソフトウエア開発会社パートナー推進部

主体的に動く部門に!
大手ソフトウエア開発会社パートナー推進部

大手ソフトウエア開発企業にあるパートナー推進部でのAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)ワークショップをやった結果についての事例です。

パートナー推進部の役割は、システム開発を受注し、開発プロジェクトを立ち上げる際に、パートナー会社にエンジニアの募集をかけ、プロジェクトに入ってもらう人材を探して調達する部門です。メンバーは12名。

リーダーの想いはあるが、なかなか実現できず

ワークショップをする前は、事業部からの依頼を受けて技術者を手配していました。事業部から必要人数の依頼を受けてから動くので、どうしても仕事の姿勢が受動的になっていました。言われるのを待って仕事を進める体質が身についていたのです。

誰もが知っているようにITの技術進歩はすさまじく、すごいスピードで変化しています。その中で、構築する技術の幅も広がり、すべてを自社内で対応することができなくなっているのはどの会社も同じです。この会社でも、外部の協力会社に依頼して、エンジニアを派遣してもらってきました。

そこで、部門を率いている組織リーダーのIさんは、「パートナー会社の持つ優れた技術や建研を、会社の開発部がで戦略的に活用することができれば、もっと会社に大きな貢献をすることができるだろう。その橋渡しをできるのがパートナー推進室なのではないか。」と考えました。パートナー会社の持つ技術を生かしたら、自社の強みとして、新しいお客に提案できる。これが、自社のビジネスを向上する戦力になると考えたのです。
しかし、それを何度か部門のメンバーに話しましたがみんなの力を一つにすることはできませんでした。

自分たちができることを決める

そこで、AIのワークショップをすることにしました。戦略テーマは「我々が貢献して社内で一目置かれる存在になる」。パートナー推進部が重要な役割を担っていることを、部門のメンバーにも、社内の事業部門にもわかってほしかったのです。
そこで、1日間のワークショップ2回実施しました。連続で実施する時間確保が難しかったので、飛び石の2日間で行ったのです。

研修風景

まずは自分自身の強みや成果を考え、人間関係を強化し、チームメンバーがお互いのいいところを認め、チームの結束を高めるプログラムを実施しました。そして、メンバーにパートナー会社が持っているリソースを話し合ってもらいました。パートナー会社が貢献できる技術や機能があることを話のプロセスを通じて全員で認識してもらうようにしたのです。
その上で、自分たちのアイデンティを明確にし、自分たちがなりたい姿を描きました。理想を共有したのです。そんな理想が明らかになったときに、「もっと自分たちが主体的にできることがあるんじゃないか?」といった話し合いが始まり、「何をしたら実現できるか」というテーマで、自主的に部門の活動を良くしていく話し合いがされました。

その結果、自主的にいくつかのプロジェクトが生まれました。
今まで週に一回メールで社内に発信していた案件情報を、クラウドでいつでも見られるようにして、必要なニーズがあるときに、事業部門の人たちが、いつでも人と、その人が持っている能力などをチェックできるようにしました。また、パートナー会社の技術者情報をデータベース化して、社内で即時にアクセスできるように改善もしました。パートナー会社が情報を更新する際に簡単に手早くできるようにシステムを改善したりもしたのです。事務の合理化の一環として、支払い通知を発行する仕組みを改善したり……、さまざまなプロジェクトの案が出てきたのです。

メンバーに自信が生まれる

その中のいくつかが実行されました。そのプロジェクトを提案したメンバーが主体的になり、自らが主体的に実施したのです。実施するメンバーからはこんな声が聞こえました。「みんなで一緒にやれば大丈夫。難しいことがあっても、困難なことでも仲間に相談すればいい。」「自分一人で抱え込んだら、大変だけど、部門内にも社内にも専門家は多い。みんなでやれば解決策はきっと見つかる。」そんなメンバーの活発な活動をはじめとして、チームが活性化し始めたのです。

今は部長が変わりましたが、この活動は引き続き実践され、メンバー主体で一目置かれる部門になりました。さらに、社内での貢献を目指して、力を合わせて主体的に活動しています。

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