AI誕生秘話をお届けします。このページでは、アプリシエイティブ・インクワイアリーの誕生から、日本への導入までを短く記載しました。アプリシエイティブ・インクワイアリー。
この言葉を初めて聞いた方もいるかもしれません。
でも、実はこれ、あなたをそしてあなたの組織を今よりずっと前向きにする手法なのです。欧米では組織開発の定番です。
原因追求で疲弊している組織
「問題を見つけ、原因を突き止めて、改善策を講じる」
このアプローチは長年、組織における成長と発展の王道とされてきました。 課題を見つけて対処すること、それが組織マネジメントの基本であり、当然の手段とされてきたのです。
しかし、いつの間にか組織の中でこんな声が聞こえるようになります。
「ダメなことばかりを指摘される」
「(本音を言うと)責められるような会議には参加したくない」
「がんばったことは評価されず、足りないところだけ指摘される」
このような空気の組織では、働く人々は次第に自信を失い、挑戦や前向きな意見を口にすることを避けるようになっていきます。
“問題を直すこと”ばかりに集中していた結果、組織の「本来持っていた力」や「人が自然に持っている意欲」が見えなくなってしまっているのです。
クーパーライダーの失敗からの学び
これは、昔の米国でも同じでした。1980年代、アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学で組織開発を学んでいた大学院生のクーパーライダーは、ある企業を変革するプロジェクトに取り組んでいました。
彼は組織活性化をテーマとして研究しており、当初、従来通りの「問題分析型」のフレームで組織を診断しようと考えていました。「どこに課題があるか」「なぜうまくいっていないのか」「どんな対策が必要か」そんな観点から組織活性化のプログラムを設計していたのです。
しかし、その問題指摘型のワークショップを2-3度実施すると、参加者はどんどん少なくなりました。なぜなら、「ダメ捜し」をしていると、問題の原因を探るだけでなく、「誰が悪い」など、人を責めることになってしまい、その場に行くとまた「何かダメなところを指摘され、言い訳を言わなければならない」というようなワークショップになってしまっていたのです。
アプリシエイティブ・インクワイアリーの誕生 ~クーパーライダーの気づき
そんなとき、クーパーライダーはある参加者メンバーの対話の中にヒントを得ます。その相手は、「うまくいったこと」について話していました。
「この会社には、すでに“うまくいっていること”もあるのだ。」
「それをもっと知り、もっと実施することで、組織の未来を変えられるのでは?」
そう考えた彼は、組織変革を進める視点を180度転換しました。
「どんなときに、この組織は最も機能を発揮できていたのか?」
「社員はどんなときにイキイキとしていたのか?」
「成功の要因は何なのか?何が効果をもたらしたのか?」
180度方向を変えたワークショップで語られたのは、驚くほど活気に満ちた物語でした。
「本当に大変だったけど、みんなで支え合ってやり切ったんだ。」
「信頼されて、任されていると感じたから、自分から進んで動けよ。」
「このチームで協力したから、成果をつくれたよ。お互いの信頼で協力をできるようになって嬉しいよ。」
その語りの中に、人と組織が本来持っている輝きがありました。
クーパーライダーは確信しました。
「組織に変化をもたらすのは、問題の分析ではなく、希望へ向けての対話だ。」
これが、アプリシエイティブ・インクワイアリー誕生の瞬間でした。

2012年 デンマークにて クーパーライダーと弊社代表の渡辺誠
ダイアナ・ホイットニーとデイビッド・クーパーライダーの出会い ~ アプリシエイティブ・インクワイアリーの実践と体系化
この革新的なアプローチに強く共鳴したのが、組織開発の実践家であるダイアナ・ホイットニーです。
彼女は、企業の組織変革に数多く携わってきた経験から、アプリシエイティブ・インクワイアリーが強力な実践知になり得ることを直感しました。クーパーライダーとホイットニーは何度も一緒にワークショップを実施し、アプリシエイティブ・インクワイアリーの理論を実践プログラムとして体系化していきました。
彼らはアプリシエイティブ・インクワイアリーの進め方である「4Dプロセス」をつくり、実施する哲学として「AIの原則」を整えたのです。
Positive Change の設立と世界的広がり
1990年代、クーパーライダーとホイットニーは、アプリシエイティブ・インクワイアリーの理念を実践に活かすためのコンサルティング会社「Positive Change」を設立しました。
彼らが手がけたプロジェクトは、単なる問題解決にとどまらず、 組織文化や人間関係を変え、持続的な変革のうねりを生み出していくものでした。
「人と人がうまくいったことを認め合い、未来を共に描き、実現策をつくって動き出す」 これは、たちまち、米国の企業に受け入れられました。そして、欧米を中心に世界中に広がっていきました。
その後、1998年にポジティブ心理学が生まれました。ポジティブ心理学の実践手法として、組織を変える最も有効な手段がアプリシエイティブ・インクワイアリーでした。アプリシエイティブ・インクワイアリーのアプローチは、企業の組織開発はもちろん、大学や医療機関、コミュニティ形成、さらには国連でも取り入れられるようになります。
日本への橋渡し:ダイアナ・ホイットニーから15年学び続ける
私たちサクセスポイントが、真剣にアプリシエイティブ・インクワイアリーを考え始めたのは、2008年ポジティブ心理学の第1回世界大会で出会ったからです。この時、クーパーライダー講演がありました。アプリシエイティブ・インクワイアリーについて、その効果や事例を話してくれたのです。また、そのポジティブ心理学の会合では、様々なポジティブな変革が紹介されていました。企業で、大学で、軍隊で組織を活性化してきた話です。それらの紹介はアプリシエイティブ・インクワイアリーのはなしでした。
そこで、代表の渡辺誠は、2009年、ダイアナ・ホイトニーからこのアプローチを学ぶために渡米しました。ダイアナの住んでいるノース・カロライナに通うこと10回以上。そのたびに、1週間はダイアナと共に過ごし、アプリシエイティブ・インクワイアリーのエッセンスを取り込もうと真剣でした。日本にもダイアナを2度招聘し、ODNJやサクセスポイント独自開催のコンファレンスなど、大きな会合の場で、基調講演をしてもらっています。

2014年ダイアナ・ホイトニーを日本に招聘し、ODNJ立教大学で講演
アプリシエイティブ・インクワイアリーを日本流に変換
しかし、習ったアプリシエイティブ・インクワイアリーはそのまま日本に適用することはできませんでした。
AIを実施するのに、米国で標準の4日間の時間を使わせてくれる企業は日本にはなかったのです。
「1日でやってほしい。半日ならなお良い」という要望が多く出ました。私たちは、ダイアナから習ったアプリシエイティブ・インクワイアリーを日本流に変更する必要に迫られました。
結果、短時間で同じ効果を発揮する方法を生み出したのです。短時間AIが実践できるようになると、多くの企業で実施することができるようになりました。
組織の課題をアプリシエイティブ・インクワイアリーで解決
当時でも今でもおなじですが、以下のような課題に直面した企業から多くの相談を受けてきました。
・指示を待つ風土が根強く、社員は受け身。主体的な行動ができない。
・離職が多くなっている。対処方法が分からない。
・理念やビジョンが、現場で共有されていない。組織の一体感がない。
・若手が育たない。ベテランの働き方や価値観と若手の考えにギャップがある。
こうした課題は企業の生産性と低下させ、競争に弱い体質にしていました。
自律型問題解決を促す~企業の社員が自ら考えた実行して、成果を出す
こんな課題に対して、サクセスポイントはアプリシエイティブ・インクワイアリーによるワークショップ型コンサルティングを実施してきました。
ワークショップ型コンサルティングは、コンサルタントが考えるのではなく、その企業の社員が考え、答えを出すような方法です。
われわれコンサルタントは対話の進め方や、問いかけをつくり、ワークショップを行います。これにより、従業員が主体的に考え、活動し、未来に向かって、工夫し、努力をする企業文化づくりができるようになったのです。
アプリシエイティブ・インクワイアリーは、「どこがダメか」ではありません。「私たちはどんな未来を創りたいか」「それをどのようにつくりあげるか」をポジティブに語り合うプロセスです。
そして、「その未来を実現する方法を考え、実行します。」
従業員によるその対話の積み重ねが、前向きな関係性と、未来への自信を生み出すのです。私たちは参加者が自らの経験や誇りを語り合い、仲間の価値を再発見することで、 組織の空気が確かに変わっていく瞬間に何度も立ち会ってきました。
私たちはこれからも、アプリシエイティブ・インクワイアリーという希望のアプローチを通じて、 組織や人が本来持っている力を引き出す伴走者であり続けたいと願っています。
あなたの属する組織も、みんなが自信を持って、主体的に仕事を進める余地が残されていうのではないでしょうか?AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)はパワフルです。
一人ひとりを元気にします。
チームに自ら動き出す力を与えます。
組織の目的や目標を達成するエネルギーを与え、みんなの力でやり抜く力を与えます。
アプリシエイティブ・インクワイアリーの対話を始めてみませんか? お手伝いします。
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