ポジティブ・アプローチとギャップ・アプローチ

2つの問題解決方法

問題を解決するには問題の種類を明確にしてから始めます。組織の中にはカネビン・フレームワークで見たように、4つの問題があります。問題の性質を見て、解決方法を選ぶことが必要です。組織で良く使う問題解決の方法は2種類あります。「ギャップ・アプローチ」という不具合原因追究型の方法と「ポジティブ・アプローチ」と言われる未来創造型の方法です。
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問題と課題

弊社が組織開発をするときは、「問題」と「課題」を分けて使っています。

問題とは

「問題」とは、現状があるべき状況になっていない時です。あるべき状態と現状のギャップです。

「問題」には感情のない機械や仕組みやシステムなどの問題と、人や組織のように感情がある対象があります。主に、「ギャップ・アプローチ」を使って解決します。

機械では、本来定めた仕様にある性能が出せていない。コンピューターのシステムが本来出すべき性能を出せていない。そのような問題が、機械や仕組みの問題です。

一方、営業マンが目標数値を達成できない。あるいは、チームで決めた製品の完成納期が遅れている、など、人や組織の「問題」もあります。

私たちは、別に記載しているように、人や組織に不具合の原因追求をするときは慎重に扱います。出来ていない原因を追究すると、モチベーションが低下したり、組織のエネルギーを減衰させたりすることがおこりがちなので、人や組織の問題には、「ギャップ・アプローチ」を使う時は慎重に進めます。

課題とは

「課題」とは、将来のありたい姿と現状とのギャップです。組織リーダーの夢や構想、あるいは戦略目標などが「課題」です。

組織リーダーが未来のありたい姿に向かって現状を変えていきたいときに、「課題解決」とか「課題達成」と言っています。そのような時には未来創造型の「ポジティブ・アプローチ」を選んで課題を解決していきます。

未来に向かって、何ができるかをポジティブに考えていく方法です。

不具合原因追求型「ギャップ・アプローチ」の進め方

ギャップアプローチギャップ・アプローチとは、「問題」を見つけて解決します。不具合の原因を追究して問題解決する方法です。不具合や欠陥がある場合には改善する必要があります。そのために原因を追究してその原因を突きとめ、対策を打つのです。

最も一般的に使われている問題解決方法です。おなじみな人が多いでしょう。
不具合の原因追求は次のように進めます。

①問題を見つける
②問題を起こしている真の原因を見つける
・考えられる原因を魚の骨などで網羅する
・なぜなぜ問答を繰り返し、真の原因を見つける
・データや統計を取り、真の原因を探す
③対策を考える
・真の原因に対して、対応策を打つ
④解決する

不具合原因追求型では真の原因を見つけることがカギ

しかし、ここで、重要なことを確認しておく必要があります。真の原因が見つからないで、手を打っても解決できないということです。故障した機械の部品を交換するときに、壊れた部品を見つけないで、他の部品を交換しても、修理したことにはなりませんよね。

だから、「なぜなぜ」問答を繰り返し、本当の原因を見つけなさい、というのが、原因追求において最も大事なポイントなのです。

しかし、カネビン・フレームワークで見たように、原因が絡み合い、本来の原因を見つけようと思っても、人や組織における「複雑系」の問題において、相当深堀しないと本当の原因は見つかりません。原因を見つけたつもりで、本当の原因でないところに手を打っているケースはよく見かけます。これでは、解決できませんね。

未来創造型「ポジティブ・アプローチ」の進め方

ポジティブアプローチありたい姿と現状にある課題について考えてみましょう。「課題」とは、将来のありたい姿と現状とのギャップです。組織リーダーが未来のありたい姿に向かって現状を変えていくのが、未来創造型課題達成のポジティブ・アプローチです。

営業担当者がもっと売れるようになってもらいたい。もっと残業が少なくなるようにしたい。社内の雰囲気をもっと前向きにしたい。顧客の課題に組織を超えて取り組んでほしい。そんな未来のありたい姿に対して現状との差を「課題」と言います。この課題を達成するのがポジティブ・アプローチです。

「ポジティブ・アプローチ」で組織開発をするときは、多くの場合次のように進めます。

①何を検討するのかテーマを明確にする
②それを達成するために使える「強み」やうまくできていることを見つける
③ありたい姿や目標を共有する
④目標の実現方法を考える
・「強み」やうまくできていることを活用する
・うまくできていないことを改善する
・広い視野で考え直す
⑤いくつかの選択肢を実行しながら、効果のある方法を継続する

「ポジティブ・アプローチ」では、未来の作り上げたい姿を中心にどのようにしたら実現できるかを考えます。そのために、実現方法の選択肢を出して、うまくいくことをもっとやるのです。(ロジカルシンキングでは、これを仮説検証しなが
ら、進めるといいます。)

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