マスタートレーナー紹介:鈴木 愛子 <Aiko Suzuki>

指示命令から、対話型リーダーシップへ。 それがフィンランド式ファシリテーション®


鈴木 愛子

Aiko Suzuki

サクセスポイント株式会社
ポジティブ組織開発コンサルタント
Grape People社認定 フィンランド式ファシリテーション ® マスター ファシリテーショントレーナー

略歴

オーストラリア・メルボルン生まれ。
2019年サクセスポイント株式会社入社。
組織開発・人材育成の専門家として、リーダーシップ開発や心理的安全性向上など幅広くご支援しています。
2020年、日本に初めてフィンランド式ファシリテーション®を導入し、日本企業向けモデルを構築。
Grape People社認定マスター トレーナーとして300名以上を育成し、会議改善にとどまらず「指示命令型から対話型リーダーシップ」への変革を推進しています。

フィンランド式ファシリテーション®との出会い・学んだ動機

2020年、コロナ禍で多くの研修が止まった時期に、フィンランドの第一人者Pepe Nummi氏からオンライン・ファシリテーションを紹介いただきました。オンラインでありながら、世界中の人々と深い対話を交わし、互いを理解し、全員が納得する合意形成ができる方法に衝撃を受け、「日本でも広めたい」と強く決意しました。
この手法は、声の小さい人も安心して意見を伝えられ、主体性を引き出す場をつくります。
それは組織を前向きに変える原動力であり、対話型リーダーシップの確かな土台になると確信しています。

認定情報

第2期
  • 基礎編1
  • 基礎編2
  • 対話型リーダーシップ
  • アイデア創発ワークショップ
  • チェンジマネジメント
  • Deep dive
  • 困難な状況に対応するスキル
  • 心理的安全性を高めるオンラインファシリテーション

実践している主な場面・活用事例

1. 離職防止とエンゲージメント向上(大手製造業)
  • 背景:若手社員の定着率が低く、入社3年以内の離職が課題となっていた。上司とのコミュニケーション不足や将来像の不透明さが原因と考えられていた。
  • 実践:フィンランド式ファシリテーション®を活用したワークショップを実施。若手・上司・経営層がそれぞれの期待や課題を率直に共有し、相互理解を深めた。
  • 成果:若手が主体的に提案する文化が生まれ、2年間で離職率が半減。上司からは「部下の意見を引き出すコツが身についた」との声が多数寄せられた。
2. 部門横断プロジェクトの推進(大手メーカー)
  • 背景:部門間の情報共有が滞り、プロジェクトの進行に遅れが生じていた。部門ごとに優先事項や価値観が異なり、共通目標を持てないことが課題だった。
  • 実践:CSAモデルによる課題の明確化と合意形成ワークショップを実施。 立場や専門の異なる参加者が共通ゴールを描き、実行可能な行動計画を策定した。
  • 成果:複数部門の協働プロジェクトが加速し、新製品開発のスピードが向上。 関係者の「部門を超えて一体感が生まれた」という声をいただい
3. ハラスメント防止と職場風土改善(全国拠点を持つ企業)
  • 背景:一部リーダーの指導スタイルが威圧的で、部下が意見を言いづらい雰囲気があり、職場アンケートでも低い心理的安全性が指摘されていた。
  • 実践:フィンランド式ファシリテーション®と1on1
  • 成果:半年後の職場アンケートで「安心して意見が言える」スコアが大幅に改善。離職予備軍とみられていた社員も定着し、風通しのよい職場風土へと変化した。

好きなツールやアプローチ

  • CSAモデル
  • Me-We-Us
  • Bus Stop
  • オープン・スペース
  • アイデアログ(Ideologue) 

トレーナーとして大切にしていること

誰もが考えを持っていると信じる

発言がないのは、意見がないからではなく、場が整っていないから。
これまで考える機会がなかっただけかもしれません。
だから私は、若い人もベテランも、自分なりの意見を安心して言える場をつくることを大切にしています。

安心して話せる空気を整える

「話しても大丈夫」と思える空気があると、人は本音を話せます。
その一言が場の流れを変え、組織を前に進めるきっかけになることもあります。
その瞬間を引き出すために、丁寧に場を整えます。

答えを渡さず、一緒に探す

すぐに答えを教えるより、「どう思う?」と問いかけながら、
本人の中にある答えを一緒に探します。

場の目的を明確にし、納得感のあるゴールへ導く

「何のためにこの場があるのか」を最初にクリアにすること。
参加者が目的を理解し、納得して進めるからこそ、
議論や対話が深まり、合意したゴールに向かって力を合わせられます。
そのために、流れや空気を丁寧につくり上げ、
「ここで話してよかった」と思える時間をつくります。

印象に残っている実践やエピソード

新入社員研修でフィンランド式ファシリテーションを取り入れたときのことです。
積極的な人は指名しなくても発言してくれますが、中には緊張や遠慮から、自分の意見をなかなか言えない方もいました。
しかし様子を見ていると、しっかり自分なりに考えていることが分かったので、Me-We-Usのステップを取り入れてみました。

まずは、自分なりに考え、小さなグループの中でその考えを話し、周りに聴いてもらう。
そして背景や理由まで含めて互いに理解し合う――これがフィンランド式ファシリテーションの特徴です。
その経験が自信となり、やがて全体の前でも堂々と自分の考えを語れるようになりました。

このとき、「安心して話せる場があれば、人は必ず一歩踏み出せる」ということをあらためて実感しました。

世代間ギャップが埋まった瞬間

ある企業で、世代間ギャップをテーマにしたエイジダイバーシティのワークショップを行ったときのことです。
管理職層と若手社員、それぞれが「相手は自分をわかってくれない」と感じていて、会話はどこか遠慮がちでした。

そこで、世代ごとの価値観や育った背景を共有する時間をつくりました。
管理職からは「自分の若い頃はこうだった」というエピソード、若手からは「この仕事を選んだ理由」や「日々感じている葛藤」が語られ、本音が少しずつ出てきました。

最後には、「そんなふうに思っていたなんて知らなかった」「もっと早く聞けばよかった」という声が飛び交い、自然と笑顔が増えていきました。
立場や年齢を超えて、互いの声に耳を傾けられるようになった瞬間でした。

これから届けていきたいこと/メッセージ

私たちが届けたいのは、会議そのものを変える力です。
話し合いが形だけで終わらず、全員が納得し、自ら行動に移す。
そんな会議があたりまえになることで、組織はもっと柔軟に、もっと創造的に動き出します。

その土台となるのが対話型リーダーシップです。
一方的に指示するのではなく、問いかけ、聴き合い、共に考える。
立場や性格の違いを超えて、一人ひとりの意見や強みを引き出し、
チーム全員が意思決定と行動に主体的に関われるようにします。

フィンランド式ファシリテーション®は、この対話型リーダーシップを自然に実践できる場づくりの技術です。
ぜひ、あなたの組織でも。
一緒に学び、一緒に試し、会議から組織、そしてリーダーシップを変えていきましょう。

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