認定ファシリテーター活用事例:溝江直樹さん

私にとってフィンランド式ファシリテーションは「誰も取り残さない場をつくる技術」です
溝江直樹さん
Naoki Mizoe
SMBCラーニングサポート株式会社/ファシリテーター
プロフィール
SMBCラーニングサポート株式会社にてファシリテーターとして活動。企業研修やコーチング、キャリアコンサルティングを中心に、人材育成や組織開発の分野で幅広く活躍。銀行員として長年勤務した経験を生かし、現在は企業研修の企画・運営に携わる。
こんな場で使っています
経営方針会議
発言が限られがちな会議で、CSAモデルを取り入れました。すると普段声をあげにくい人の意見が出て、現場の課題やモヤモヤが可視化されました。その結果、経営層が「こんな声があったのか」と驚き、議論が深まりました。
会議後には「この方法だと本当の課題が出てくる」「経営層の思い込みに気づけた」との声もあり、次の方針づくりに活かされています。
20名規模の研修説明
「4つの質問」を活用することで、参加者の不安や理解度を見える化。場が一方通行にならず、自然と対話が生まれ、安心感を持って学びに入れるようになりました。
特に「今心配に思っていることは?」という問いから、研修内容に対する率直な疑問や不安が出てきて、それに答えることで納得感が高まりました。結果として、受け身ではなく主体的に学ぶ雰囲気が生まれました。
日常の会議
「隣同士で感想を共有する」だけでも対話の雰囲気が変わり、納得感の高い意思決定につながっています。単なる情報共有の場が「みんなで考える場」へと変わり、「自分の意見を出してもいいんだ」という安心感が広がっているのを感じます。
小さな工夫ですが、日常の積み重ねが組織文化を変える力になると実感しています。
フィンランド式ファシリテーション®を学んだきっかけ
コロナ禍の時期に、フィンランドのファシリテーターがオンラインで開催したセミナーを偶然見つけたことが出発点でした。ファシリテーションといえば、ファシリテーターが場を仕切ってなんとか進めていくイメージを持っていましたが、そこで目にしたのはまったく逆の世界。静かな人や声の小さな人の意見も大事にしながら、対話を通じてお互いを理解し合う場づくりに衝撃を受けました!
銀行という、どうしても上下関係が強く発言がしづらい職場環境で長年働いてきたこともあり、このスタイルなら声を上げられない人の思いを引き出せるのではないかと強く共感し、学びを深めることにしました。
実際の活用シーンと変化
現在は企業研修の場でフィンランド式ファシリテーションを実践しています。特に「ME-WE-US」のプロセスを取り入れることで、これまでほとんど発言しなかった人からも自然と意見が引き出されるようになりました。
例えば部門の会議でも、まず一人で考える時間を設け、その後少人数での対話を経て全体で共有する流れを踏むと、普段は声を出さない参加者から率直な思いが上がってきます。その結果、会議では本当の課題や組織の状態が明らかになり、参加者が納得感を持って合意形成に向かうことができるようになりました。
また、CSAモデルを意識した会議設計も有効です。特に「C(クラリファイ)」のステージでテーマを明確にすることによって、議論が迷走することなく深まっていくことを実感しています。
これからフィンランド式ファシリテーション®を学ぶ方へメッセージ
私にとってフィンランド式ファシリテーションは「誰も取り残さない場をつくる技術」です。参加者一人ひとりが納得を持って合意形成に向かう、そのために必要なのは対話の積み重ねだと思います。
これから学ばれる方には、ぜひ体験を通してその力を実感していただきたいです!説明を聞くだけでは分からない、場の温かさや深まりを必ず感じることができると思います!
インタビュー動画紹介
一期生・溝江直樹さんと三期生・北原佑介さんへの合同インタビュー動画をご紹介します。フィンランド式ファシリテーションの魅力に迫り、そのメソッドが具体的にどのような場面で活用されているのかを掘り下げています。
続く後編では、能登震災における活用事例、大規模な研修現場での具体的な実践例など、貴重なお話をじっくり伺っています。
一緒に、組織の中に眠る力を見つけ、未来を描く一歩を踏み出してみませんか?
私たちは、その伴走者として、丁寧にサポートいたします。