アプリシエイティブ・インクワイアリーとは

AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)とは

アプリシエイティブ・インクワイアリーは、ひとや組織の強みやうまくやっていることに注目する人材開発・組織開発の手法。
今まで埋もれていた力を引き出し、その力を最大限に発揮することが出来るようにするための方法です。

アプリシエイティブ・インクワィアリーとは

AI(アプリシエイティブ・インクワィアリー)とは「価値探求」です。
うまくできていることは何か、強みは何か、と価値を探求し、ポジティブに問題解決をする方法です。

Applicativeとは価値を見出すという意味。
Inquiryとは質問するという意味です。

アプリシエイティブとは、「価値を見出す、価値を認める」という意味です。
よく日本ではアプリシエイティブを「感謝」と訳されることが多い単語なのですが、もともとは、「モノの価値を見極める」という意味で使われていた言葉です。

したがって、ここでいうアプリシエイティブとは、ひとの価値を認める、組織の価値を認めることを言います。
これをひとに当てはめると、ひとの強みやうまくやっていること、努力した価値を認めることです。

組織に当てはめると、組織の強みを認める、うまくいったプロセスを認める、組織として努力したことや工夫したことを認める。これが組織の価値を認めることです。

インクワイアリーとは、「質問する。問いかける」という意味です。askという単語よりやや深い意味がありそうです。「探求する・問いかけて見つける」というような意味まで含んでいるようです。

つまり、価値を見つける質問を投げかけることで、人が持っている良いところや、組織の持っている強みを発見するのです。

これがAIです。

AIの歴史

AIは1980年代にケースウエスタン大学のディビッド・クーパーライダーらが始めました。
欠点補正のアプローチしかなかった時代に、価値を認めるという視点を組織の問題解決に持ち込んだのです。

デイビッド・クーパーライダーと弊社代表の渡辺 誠

クーパーラーダーは大学院生でした。従来の原因追及する問題解決方法で組織を変えることは難しいけど、ポジティブにすると組織にいる従業員は喜んで組織を変えようとすることを体験しました。
クーパーライダーと初期から一緒になってAIを発展させてきたのがダイアナ・ホイットニーです。

ダイアナ・ホイットニーはコンサルタントの実務家。博士であり、大手企業でコンサルタントとして活躍していました。ダイアナ・ホイットニーもそこの炉はみんながやっていた方法、つまり、不具合を見つけ原因追及する方法でコンサルティングをしていました。そんな時に、ディビッド・クーパーライダーにあったのです。

二人は、AIを適用して成果をげることに喜びを感じていました。大手の通信機器企業、ファッション企業、大手農機具メーカーなど、組織の実現したいことを実現し、従業員みんなのエネルギーを引き出し、知恵と行動で、会社の業績を飛躍的に伸ばしてきました。コンサルティングをして多くの企業や組織に高い成果を残し、AIは成果を作りだすことを実証しています。これから2人でAIの啓蒙活動を始めました。ニューメキシコ州のタオスという町で、AIワークショップを始めたのです。その後2人は協力してAIの実践と啓蒙活動を継続していきました。

AIの創始者Diana Whitneyと弊社代表の渡辺誠

そのような人たちのお陰で、私たちはポジティブ・アプローチであるAIを利用することができるのです。日本でやっと脚光を浴びてきた組織変革手法ですが、サクセスポイント株式会社はこのプロセスや哲学を利用して、日本のあらゆる組織で働く人々がイキイキと働き、高い成果を出せる組織になることを願い活動をしています。

AIのポジティブな視点が人の気持ちと組織を動かす

AIを使うと、メンバーの間にポジティブな感情が生まれ、目的に向かって、創造力豊かにさまざまな方法を考えることができるようになります。

問題や課題はいつでもあるものです。
課題の無い組織に成長はありません。
その課題を「もっとうまくやるにはどうしたら良いか?」と問いかけることにより、解決に向けて思考し、行動するのがAIです。

なぜ、ダメなんだ。なぜ、できないんだ。」と言って考えると人の気持ちは落ち込みます。
AIは「なぜできたんだ」という180度違う観点から考えます。

つまり、良いところ認め合うことにより、ポジティブな感情を人の中に起こします。
「自分もできる人なんだ。」
「うちの会社もいいところがいっぱいあるんだ。」

そんな人の前向きな気持ちを大事にしながら、人の気持ちと知恵、さらに、自主的な行動力を使って、人材開発や組織開発をしていくのです。
 
AIは社会や組織の変革のみならず、個人の成長にも使われます。
1:1のコーチングから、数人のチーム、さらに、会社全体の変革に至るまでの幅広く利用されています。
組織の人間的な面に焦点をあて、ポジティブとネガティブのバランスを取りながら、人々の感情やエネルギーの力を利用することによって組織を変革するのです。

AIの進め方―4Dプロセス

AIには基本的なプロセスがあります。
それを4Dプロセスとダイアナ・ホイットニーたちは言っています。

AI推進者はそのプロセスをもとに、適切な質問をかんがえ、ワークショップを運営します。

AIの目的は、様々です。その目的に沿って、個別に質問や進め方を考えます。
その枠組みが4Dプロセスなのです。

AIは、次のようなプロセスで進めます。

 ・【戦略テーマの設定】検討すべきテーマを明確にして
 ・【発見段階】お互いがお互いの良いところを認め合い
 ・【ポジティブ・コア】特に優れた成功要因やいいところを整理して
 ・【理想段階】未来のありたい姿をみんなで協力してつくり
 ・【設計段階】ありたい姿になるためにやることを決め
 ・【実行段階】自分たちで実行していく

Appreciative Inquiry 4-D Cycle

戦略テーマの設定と事前準備

組織を改革する際には、AI推進者は事前にトップマネジメントやコアチームとのミーティングを行い、企業の戦略テーマ(大きな戦略・方向性)を明確にします。

この組織では、どんな未来を創りたいかを話し合い、組織のエネルギーを向ける方向性を明確にします。簡単に言うと、みんなの力を使って何を達成したいかを決めるのです。

戦略テーマが明確になったら、AI推進者は全体の運営を決め、プロセスの詳細を設計します。
誰が参加できるか、組織のメンバーをどう巻き込むかもAI推進者が企画する際の重要なポイントです。

この際、トップマネジメントを巻き込むことは必須です。トップの強力な後押しがないと途中でとまってしまうことがあります。

組織によっては、
 ・経営陣だけでAIを行ったり、
 ・管理職からトップまでのワークショップをつくったり、
 ・全社員でワークショップをしたり、
 ・部門ごとにワークショップを行ったりします。
 ・部門代表を各階層からメンバーを選出することもあります

すべて会社の規模や事業所の場所など、様々な条件を加味して決定していきます。
クライアントの状況に応じて、さまざまな方法で全員を巻き込むような企画を練ります。

発見段階 Discovery

発見段階では戦略テーマに合った質問により、良いとことを引き出します。

通常、インタビューが多く使われます。
その他にも、強みのテスト、アンケート分析など、いろいろな手法が使われます。

例えば、「満足したお客様が何度も来店してくれる店づくり」というテーマの時は、
 「お客様に感謝の言葉をいただときはどんなとき?」
 「笑顔で帰ってくれたときはどんなとき?」
 「良く来てくださるお客様は何を気に入ってくれているの?」 
といった質問を店員にしました。

うまくいっていることは何か、なぜうまくいっているのか、を探し出すのです。

発見のステップでは質問により普段意識していないことを意識上に浮き上がらせます。
それが人の潜在力を引き出すことになります。
人の価値であり、組織の価値を認めることになるのです。

うまくいっていることをさらにうまくするためのデータを探すのがこの段階です。

ポジティブ・コア Positive Core

発見段階で見つかったうまくいっているデータをワークショプに集まったみんなが議論します。

お客様の満足に役立っている
 「我々の本当の強みは何だろうか?」
 「何をするとお客様がまた来てくださるのだろうか?」
を問いかけます。

 ここではマインドマップを使う方法もありますし、親和図的にまとめる方法をとること気もあります。
QC七つ道具の「フィッシュ・ボーン・チャート(特性要因図)」を書く場合もあります。
ただし、QCでは不具合の分析に使うツールですが、AIではこれを成功要因分析に使います。

ワークショップ参加者全員が、こんなことをするとお客様が満足してくださるということを共通の意識として持てる瞬間です。

理想段階 Dream

ここでは戦略テーマが実現され「理想の姿」が実現されているイメージを形に表します。

コラージュを作ったり、即興劇をしてみたり、方法はさまざまです。
どれも五感を駆使して表現します。

ただ頭で考えただけでなく、気持ちや思いも表わすのです。
そして、五感で印象付けます。

「わたしたちは、将来こんな未来をつくりあげるんだ!」と未来の姿を明確にします。

 写真は、サクセスポイント株式会社のメンバーが創ったコラージュです。参加メンバーの一人ひとりが発見段階・ポジティブ・コアのプロセスと話しあったあとに作り上げたものです。

太陽の周りにポジティブな言葉が渦になって配置され、そこから光を放っています。我々は、ポジティブな組織文化を作り、ポジティブな人材を育成することによって顧客に満足を与えていくのだという思いを表わしています。ポジティブ心理学やAIなどにより、ポジティブさの大切さを世の中に発信していくという意味も込められています。 

このようにそれぞれの組織の理想の姿を表現してみるのがこの理想段階、全員の気持ちが一つになり、目的や目標が共有されていく瞬間でもあります。

設計段階 Design

この段階では、理想を実現するために何をしたらよいかを決めます。
共有されている理想に向かって何をした良いか、Whatを決めるのです。

Whatが決まったら、実現したいことを明確な文章に表してみることもあります。
Whatの未来像を決め、それをする意味を明確にするのです。

もう一つ、組織の問題や課題を出すのものこのときです。
しかし、AIでは、問題を従来の原因追及型問題解決のようには扱いません。

「もっと良くしたいことはなにか?」
「どんな状況になったらいいのか?」

と問いかけて、未来志向・可能性志向で問題を取り上げます。
問題をポジティブに取り上げたら、解決のために何をするかを探し出します。

「満足したお客様が何度も来店してくださる店づくり」の例では、Whatとして、

 「接客時にお客様の感情を汲んだ表現をする」
 「親しみやすいパンフレットを手作りでつくる」
 「ホームページに新コーナーを設ける」

 など、自分たちがすぐにできることから、外注が必要なものまで、様々なアイディアがでました。

実行段階 Destiny

ワークショップでは、5W1Hを決めます。誰が何をするか、いつまでに、誰と、どうやって進めるかなどを決めるのです。

原則は、「自己決定」です。自分でやりたいことを決め、チームを組んで進めます。
チームに参加するときは自分の意志で手を挙げます。

ここにはポジティブ心理学の「内発的動機付け」の理論が背後にあります。決して上司が指示してやりなさいと言う関係で始まるのではなく、組織のメンバー一人ひとりが変革の騎士となり、自主的に主体的に関わっていくことを勧めています。

この段階では、AI推進者は一歩引いて成り行きを見守り、上司も指示をせず、仲間のダイナミズムがどう動くかを見守ります。自己組織化し動き出す素晴らしい瞬間です。

一人ひとりが戦略テーマを実現するために動き出し、戦略テーマに沿ったさまざま知恵がうまれ、実行され、成果を作り出すための変革の始まりです。

「満足したお客様が何度も来店してくださる店づくり」の例では、「小さな手作りのパンフレット」をつくろうと決めました。

お客様に満足していただくために、自分たちがモデルになり、商品を使って生活が潤うということを紹介する内容にしよう、という企画が発展しました。お客様がそのパンフレットを手に取り感動している姿を想像し、その小冊子の大きさや色使いなどのイメージができました。

ここまで、イメージが決まったので、現場に帰ってから、一挙に実現に向かって動き出すことができたのです。

2つの問題解決方法

問題を解決するための方法は、2つあります。

私たちは、下図の右側の方法で潜在力を引き出していきます。お互いに、ストーリーを話し合ったり、テーマについて対話を重ねたりすることにより、組織の見えない力を話し合い、明確化し、潜在力として引き出していきます。

潜在力を引き出す方法

従来のコンサルティングのアプローチは、「成果を上げるのに、何が問題になっているか」という、問題解決型でした。つまり、問題をなくすことが注目されています。

アプリシエイティブ・インクワイアリーでは、「成果を上げるのに、私たちが持っている力は何か」を考えます。
問題を、「もっとほしいものは何か」という視点で捉えます。
ほしいものを得るために、見えていない力を引き出し、自分たちの持っている力を見つけ、それを利用して目標を達成していく方法を真剣に考えるのが、アプリシエイティブ・インクワイアリーなのです。

AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)では、組織の強みや成功要因を引き出していきます。
また、価値観を見つめなおしていきます。
そのプロセスでは、社員一人ひとりが元気になります。
強みを語るときはみんな笑顔になるのです。
このみんなのエネルギーを活用して、潜在力を「見える化」するのです。
潜在力が見えたら、その潜在力を伸ばすことで、成果の上がる組織へと変革していきます。

弊社代表の渡辺誠とAI

私たちの推進しているポジティブ心理学を現実の社会に応用するときに、いくつかの方法があります。ポジティブ心理学は働くひとや個人の幸せや個人の強み育成などに使われていますが、企業などの組織に使われているのは数多くありません。弊社代表の渡辺誠(わたなべまこと)は2009年にAIの発明者である大学教授のデイビッド・クーパーライダーと会って、話を進めるうちに、AIは、ポジティブ心理学を実践する際に、とても近い考え方であることに気が付きました。それからAIに注目してきました。

デイビッド・クーパーライダーと渡辺 誠

当初の、AIの多くは「大きな組織」を変革することを前提として利用されました。

国連やアメリカの都市などで多くの参加者を集めて、ホールシステムアプローチと称して、大きな変革をした事例が多く紹介されていました。

確かに、その改革では、予想もつかないことが起こっています。
ユダヤ人とアラブのひとたちが共同で設立したイスラエルにおける街づくりの事例。
時代から取り残されて古びた汚れたアメリカの都市クリーブランドをピカピカの都市に変えた事例。
クリーブランドですは、汚い川もきれいに浄化された事例など、想像をはるかに超えた成果を作ってきました。

しかし、渡辺 誠はかんがえました。
これを一般企業に取り入れようとすると容易ではないな。
ステークホルダー(組織に関連する人たち)を幅広く集め、大人数でワークショップをすることは日本ではできないよな・・・。

そこで、渡辺誠は、もう一人のAIのキーパーソンであるダイアナ・ホイットニーの活動を遠くから観察始めました。

ダイアナ・ホイットニーはデイビッド・クーパーライダーと共に、AIの創始者の一人です。
デイビッド・クーパーライダーは大学において、学問の分野からAIを追及していきましたが、ダイアナは自分でコンサルティング会社を作り、企業やNGOなどの組織にAIを利用し組織変革の大きな成果を上げていました。

渡辺誠は観察を進めるうちに、そのダイアナが幅広いAIの活用方法を進めていることを発見したのです。
ダイアナは「大きな組織」を前提として利用されていたAIを、リーダーの育成やの個人のイキイキしたあり方などに活用していました。

そこで、渡辺誠はダイアナの住んでいるノースキャロライナのチャペルヒルまで飛んでいき、実際にダイアナと会って今後の活動したいことなどを話し合いました。価値観や今後のありたい姿などについて、様々な議論をしました。2010年4月のことです。

「AIを個人にも、1:1の部下指導や対話にも、チームのような小さいグループにも、そして、大きな組織にも活用している」と、言っていたのです。渡辺誠や私たちはポジティブ心理学を活用し、働くひと一人ひとり、そして、コーチングなどの対話、リーダーやマネージャーが統括するチームの活性化、そして、組織全体の活性化をしたいと思っていました。

ダイアナは自らの夢を教えてくれました。「これでみんながイキイキと充実してくれたらいい。」「みんなが幸せに働ける秘訣がここにはある。それを世界中に広めたい。」

話し合いの結果、私たちの考えている方向ときわめて似ていることが分かりました。

2010年7月に再度ノースキャロライナのチャペルヒルを訪問し私たちが開発した成果物について話し合いました。

そして、私たちの開発したプロプログラムを2本提案し、ダイアナの共同開発を提案しました。

日本発のプログラムが世界のプログラムになるのです。
とても嬉しい瞬間でした。
これを機に、ダイアナ・ホイットニーのコンサルティングパートナーとして、グローバルに活動を進めながら、さらに、プログラム共同開発をして行くことを決めました。

「これからの長い旅の始まりね。これからの末永くよろしく。」と言われて、ノースカロライナ州、チャペル・ヒルのダイアナの家を旅立ちました。

 AIの創始者Diana Whitneyと共同開発

ダイアナの家での真剣な討議

ダイアナの家での真剣な討議

それから、8年。その間に、ダイアナ・ホイットニーに会いに14回もアメリカやヨーロッパに旅をしました。AIをトコトン追求していったのです。

私たちは「ポジティブ組織づくり」を目的として、AIの幅広い活用を共同開発しながら、組織活性化・成果向上の活動を進めていくことになりました。

渡辺 誠はダイアナ・ホイットニーからDistingused Facultyのメンバーとして任命されました。世界のAIを伝えていく中核の人材として活躍しています。日本企業にも、世界の企業にも・・・。

ダイアナ・ホイットニー博士

1948年生まれ。米国出身。国際的なコンサルティンググループであるCorporation for Positive Change(CPC)社の創設者。米国における社会変革の中心的な機関であり、人材輩出機関でもあるタオス・インスティチュートの創設者の中心的メンバーでもある。AIによる組織変革、リーダーシップ理論などで国際的に認められたコンサルタント。

デビット・L・クーパーライダー博士と共にAIを世界に広めた第一人者として知られる。
30年以上に渡るコンサルティングの実績を有し、そのクライアントには、メルク、英国航空、ジョンソン・エンド・ジョンソンなど世界的な大企業が名を連ねる。現在、CPC社は米国ノースカロライナ州を拠点とし、AIによるコンサルティングやワークショップを世界的に展開中。
著書は17冊あり、そのうち3冊が翻訳されている。『ポジティブ・チェンジ』『 AI「最高の瞬間」を引きだす組織開発』『なぜ、あのリーダーの職場は明るいのか?』  
www.positivechange.org

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